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技術コラム

射出成形試作の基礎知識

2025年7月17日

射出成形試作とは

射出成形試作とは、プラスチック製品の量産前において、形状確認や機能検証を目的として実施される工程です。この工程では、本格的な量産金型を製作する前に、製品の品質や性能を評価し、設計上の問題点を事前に発見・修正することが可能です。

工場設備の保全担当者や購買担当者にとって、射出成形試作は製品開発コストの最適化と生産効率の向上に直結する重要な工程となります。

射出成形試作の主要な工法

簡易金型(試作金型)による射出成形

簡易金型は、アルミやZAS材などの加工しやすい素材を使用して短納期で製作される金型です。量産金型と比較して以下の特徴があります:

  • 製作期間: 量産金型の約1/3程度 
  • コスト: 量産金型の約1/2程度 
  • 耐久性: 約10,000ショット程度(形状により変動) 
  • 材料: 量産と同じ樹脂材料の使用が可能 

3Dプリンターによる試作

3Dプリンターを活用した試作は、以下の方式が主流となっています:

  • FDM方式: 熱溶解積層造形 
  • 光造形方式: UV硬化樹脂による積層造形 
  • SLS方式: 粉末焼結積層造形 

ただし、FDM方式では強度試験には適さないため、機能確認が必要な場合は注意が必要です。

真空注型による試作

真空注型は、シリコン型を使用した成形工法で、20~100個程度の中量産試作に適しています。金型製作コストを抑えながら、比較的精度の高い試作品を製作できます。

試作工法の選定基準

試作目的による分類

外観確認

  • 形状・寸法の検証 
  • デザイン評価 
  • 組み立て性の確認 

機能確認

  • 破壊試験・強度試験 
  • 耐摩耗試験・薬液試験 
  • 長期耐久性評価 

必要数量による工法選択

  • 1~10個: 切削加工または3Dプリンター 
  • 10~100個: 真空注型または簡易金型 
  • 100個以上: 簡易金型による射出成形 

射出成形試作における技術的注意点

成形条件の最適化

射出成形試作では、以下の成形条件の最適化が重要です

  • 溶融温度: 材料の熱劣化防止と充填性のバランス 
  • 射出圧力: 充填パターンとウェルドライン形成への影響 
  • 冷却時間: 寸法精度と生産サイクルタイムの最適化 
  • 保持圧力: 製品の収縮変形抑制 

金型設計上の制約

射出成形では製作不可能な形状があります

  • 薄肉形状: 1mm以下の薄壁部 
  • 垂直な壁: 抜き勾配の確保が必要 
  • アンダーカット: 金型の開閉を妨げる形状 
  • 隅Rのない尖った形状: 工具制約による制限 

工場設備への影響と考慮事項

設備投資計画への影響

試作段階での適切な評価により、以下の設備投資効果が期待できます:

  • 金型修正コストの削減 
  • 成形機稼働率の向上 
  • 不良品発生率の低減 
  • 生産立ち上げ期間の短縮 

品質管理システムとの連携

射出成形試作では、3次元測定機CAD/CAMシステムとの連携が重要です。これにより、設計値と実測値の比較測定が可能となり、量産移行時の品質安定化に寄与します。

量産移行時の注意点

試作と量産の工法差異

試作工法と量産工法が異なる場合、以下の点に注意が必要です

材料特性の違いによる収縮率変化

 

  • 成形条件の再設定 
  • 寸法精度の管理基準見直し 
  • 表面品質の評価基準調整 

設備能力の事前確認

量産移行前に、以下の設備能力確認が必要です:

  • 成形機トン数の適合性 
  • 金型サイズの機械制約 
  • 自動化設備との適合性 
  • 品質検査設備の対応能力 

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